絞り開放、光の滲みか、シャープさか?
こんにちは、みず(@mizucamera_)です。今日もご覧いただきありがとうございます。
今日のテーマは、「Nikonのオールドレンズ、暗めの2本特集」です。開放F値の明るいF1.4やF1.2の単焦点レンズはよく取り上げている記事を見かけますが、暗めのF2~F3.5 のレンズもとっても魅力的なんですよ!っていう話をしたい!というわけで、今回はMicro-Nikkor Auto 55mm F3.5 と、Nikkor-H・C Auto 50mm F2.0 の2本をピックアップします。富士フィルムのミラーレス機X-S10に装着して撮影してきた作例もりもりでお送りするので、よかったら最後までぜひご覧ください( *´`)
Nikkor Auto 55mm F3.5&Nikkor-H・C Auto 50mm F2.0 外観など
今日取り上げるのはこの子たちです。
左がNikkor Auto 55mm F3.5です。お馴染みの説明だとは思うので簡単にしますが、Nikonは他社で言うところのマクロレンズのことをマイクロレンズと呼びます。オツです。右がNikkor-H・C Auto 50mm F2.0。細かいところはこちらの記事でじっくり紹介しています。ちょっとレンズに問題アリな子だったりします。
【関連記事】【作例あり】Nikkor-HC Auto 50mm F2|バルサム切れ !? レンズの玉ボケ検証
2本並べてみると、左のマイクロレンズのほうが大きめ。どちらもピントリングの素材がゴムではなく、金属の時代のものを探して購入しました。
※このあたりのレンズの世代によるスペックの違いが気になる方は、以下の本(特にKindle版)がめちゃくちゃおすすめです。もうこれ以上Fマウントレンズは増えないでしょうから、情報が欲しくなった今が常に買い時なタイプの本。
そして、細かい話をすると長くなるので本記事ではさらっと触れる程度にしますが、わたしの手持ちの2本はそれぞれ55mmマイクロレンズが非Ai、50mmが純正Ai改造のものです。マウントアダプター経由でミラーレスに装着する場合はほぼ関係ないのですが、当時のフィルムカメラに装着するとなると、いろいろ変わってきます。いずれのオールドニッコールも、プレミアのついているモノ以外に関しては非Aiのほうが安い傾向があるので、「マウントアダプター経由でミラーレスに装着するの一択!」という方は非Aiを選んじゃっていいと思います。
さてさて、話がそれましたが、
上の写真は、ピント位置を無限遠から最短撮影距離まで、すなわちレンズが一番短いときから、長いときまで変化させた際の外観です。流石マイクロレンズ、めっちゃ伸びますね。それほど伸びないF2.0の方は、ピント合わせに時間がかからない、速写性が高いとも言えます。
次に、玉ボケの形状に直結する絞り羽根の様子を見ていきましょう。
どちらのレンズ絞り羽根は6枚。開放から少し絞った状態だと、光の通り道はきれいな六角形にはならずにトゲのある、いわゆる「手裏剣ボケ」になる形状をしています。が、さらに絞るときれいな六角形になります。
もともと開放F値の控え目な「暗いレンズ」は、「明るいレンズ」と比べるとボケ感や暗所撮影では劣るものの、絞り開放で撮影しても露出オーバーしにくい、動画撮影時にNDフィルターを付けなくても開放で撮れる、などのメリットもあります!(そして何よりも中古価格が手に取りやすいのがうれしいですよね。)
■Nikkor Auto 55mm F3.5 作例
いきなり近接撮影じゃない写真ですが、このレンズは風景をスナップしてもキレッキレなんです。
マニュアルフォーカス&じっくりピントを合わせられるようにピントリングの回転角が大きく設計されているので、動き物や小さいものを追いかけるのは難しいですが、ビタっとピントがくればこの通り、ハチさんもしゃっきりと。
ねこじゃらしの細かい部分まで繊細に描写してくれます!
背景ボケが硬めとよく言われるらしいですが、どうでしょうか。好みの問題も大いにあると思いますが、わたし的にはアリかなと。
同じ場所からの撮影でも、後ろの木にピントを合わせて大胆に前ボケを入れてみたり、
あるいは手前の実に合わせてみたり。マニュアルフォーカスだからこその楽しみがありますよね。
木漏れ日の光で作った玉ボケはこんな感じです。輪郭は全然はっきりしていないタイプの玉ボケ感。
■Nikkor-H・C Auto 50mm F2.0 作例
ここから先は、50mm F2の単焦点で撮影した写真たちです。こちらもこれまで同様にX-S10に装着しての撮影です。
先ほどまでのしゃっきりとしたピント感とは打って変わって、この光のにじみ感。たまりません!開放で撮ると、ふんわりとした光のベールをまとったような写真が撮れます。
6枚羽を生かして、木漏れ日から美しい6本の光条が。
F2っていうと暗いなあと思う方も思うかも?しれませんが、かなり十分に背景ボケをしてくれる気がします。こういう風に、手前から奥まで奥行きのある被写体は、「ピントは面で合わせるもの」っていうのを実感させてくれますね。明るいレンズでやらかしがちな、ぼかし過ぎてそもそも何を撮りたいのかがよく分からない…なんていうのも防いでくれて、初めての単焦点レンズにF2って案外ちょうど良いかも?
APS-Cセンサー機に50mmレンズを付けると換算75mmくらいの中望遠になりますね。ちょっとクローズアップした感じのスナップに。
意外と寄れるので、お花の撮影もこの通り。マイクロレンズでの「キリっと感」とは異なる、優しい感じがします。
フードを付けないで&逆光に近い光で撮ると、左の写真のようにシャーって感じのフレアが出ることも。手で光をさえぎってあげたり、フードを付ければ右の写真のように抑制できます。
逆光で木漏れ日を撮った時のフレアやゴーストはこんな感じ。カメラにとってあまりよくはないと分かっていても、どうしてもやりたくなっちゃうんですよね…!
2本のレンズで得られる画の違い
作例写真、いかがだったでしょうか。分かりやすさのために作例って言ってますがどれもわたし的には「作品」って思いたいくらい好きな写真たちを選んでみました。ご覧いただいてなんとなく伝わっていたらうれしいのですが、
▼Micro-NIKKOR Auto 55mm F3.5
→ キリっとシャープな画、背景ボケはちょっと硬め?描写はかっちりしているので、ある意味オールドレンズっぽくはないかも?
今回は紹介しませんでしたが、マイクロレンズなので、1/2倍の撮影(接写リングの装着により等倍撮影)ができる ことがポイント!
▼Nikkor-H・C Auto 50mm F2.0
→ 開放の光の滲みが美しい(絞れば滲みは解消)、このあたりの変化を楽しめるので、いかにもオールドレンズっぽい画が撮れる
ボケもゆるやか この辺りがポイント!
とわたしは考えています。同じような焦点距離でありますが、得られる画の個性が全然違うので、頻繁にカメラに付けてローテーションしている2本です。
本記事を通して「暗めレンズ」の楽しさが少しでも伝わっていたら幸いです。
【関連おすすめ記事】
APS-Cセンサー機に50mmレンズを付けたときに、75mmだと望遠過ぎて使いにくいよ!という方へ、フルサイズ換算とほぼ同じ焦点距離で撮影できるようになる特別なマウントアダプター「フォーカルレデューサー」を試してみた話。
【作例あり】フォーカルレデューサー付マウントアダプター|中一光学 Lens Turbo Ⅱ
今回紹介したF2のほうのレンズを単体で紹介した記事があります。実は本ブログみずかめらの記事の中でかなりたくさんの方に見ていただいている記事なんです...!
【作例あり】Nikkor-HC Auto 50mm F2|バルサム切れ !? レンズの玉ボケ検証
そしてそして、F2のレンズを使ってフィルム写真もたくさん撮ってまして、例えばこちらをどうぞ。
宇宙の片隅 ISO400 24EXPを使ってみたよ|YAMA FILM のカラーネガ!(生産終了品)
オールドニッコールが気になってきてしまった方はぜひこちらも見てみてほしい...!
【本紹介】ニッコール千夜一夜物語/Nikkorレンズのすべて|オールドニッコール選びの道標に!