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2021/06/04

【作例あり】Nikkor-HC Auto 50mm F2|バルサム切れ !? レンズの玉ボケ検証

およそ半世紀前に製造されたNikonのオールドレンズに一目惚れ。

Nikkor-HC Auto 50mm F2, Fujifilm X-S10, CLASSIC Neg. 菜の花

皆さんこんにちは、みずです。ご覧いただきありがとうございます!

今日はタイトルにもある通り、「Nikkor-HC Auto 50mm F2」ちゃんについて語ります!ニコンからおよそ49年前から出回った(1972-1974年の間に製造された)オールドレンズです。参照:Nikon Lens Versions and Serial Nos(外部サイト)

わたしが所有しているのはバルサム切れ(素人判断ですが。画像付きで後述します!)を起こしてしまってる持病もちの子なのですが、描く画が好きすぎて手放せません。バルサム切れしちゃったレンズの描写が気になる方も、ご覧ください。
お急ぎの方は目次から作例へどうぞー! 


Nikkor-HC Auto 50mm F2 と出会うまで

わたしはNikon F3をフィルム機のメインとして使っています。F3用のNikkorレンズ、もともとAi-Sレンズの 24 mmを譲り受けて所有していたため使っていたのですが、視野が広すぎて構図力のまだまだなわたしには使いこなせず...ご時世柄お出かけもしない、お散歩スナップに使うにはしっくりこずにいました。また、非Aiの55 mmマイクロレンズも所有していて、これはこれで大好きなのですが、非AiレンズゆえにF3に付けると絞り込み測光となり、測光時やシャッター押す時に絞り羽を絞り込むボタンを押し込まないといけないため、右手の負担が大きく、握力にそこまで自信がないわたしにはちょっとキツくて。。。

そんなこんなで、Nikon F3のつけっぱなしレンズとして使うことができる標準単焦点レンズを探してみたいなあと思っていました。そこで今から2か月くらい前(緊急事態宣言前)に比較的近所の中古カメラ屋さん(F3と出会ったお店、クラシックカメラ得意)に足を運んでみました。

購入したいレンズの条件として、
・Aiレンズか、Auto Nikkorの純正Ai改造レンズであること
・予算1.5万円程度
・F1.4か1.8、あるいは2でもいいかなー
に考えていたところ、

(1) Nikkor-HC Auto 50mm F2(純正Ai改) 税込み1万円、光学系美品、純正フロント&リアキャップ、純正フィルター(拭き傷多め)、純正フード(F文字・レンズ名入り)、プラケース(正直あんまりいらない)付き
(2) Aiレンズの50mm F1.4(詳細なモデル名は覚えていない...) 税込み1.3万円、純正フロント・リアキャップ付き

が目に飛び込んできました。。。店員さんにお願いしてショーケースから出していただき、手持ちのマウントアダプター経由で持参したX-S10に付けて試写させていただくことに。

(2) はコーティングがだいぶアンバーに変色?していて、ホワイトバランスで補正してあげないとうーん...と感じるレベル。とはいえF1.4のボケ感はやっぱりきれいでした。
一方(1) はチリホコリの混入もほとんど見られず、お店の方が太鼓判を押すくらいきれいな光学系(しかしこれが買って1か月くらいしてアレっ!?ってなるのですが...後述)でした。しかも注目すべきはレンズそのものだけではなく、付属品!当時のフードが付いてる( *´`)

性能はともかく(すみません)おしゃれ度アップのために付けるレンズフードが大好き!なので、手持ちに多いフィルター径52 mmにスナップで付けるタイプのフードなら他のレンズに転用もできちゃいそう!(画角によってはケラレの心配とかあるから非推奨だとは思いますが)

心はすっかりF2の(2)の虜。決めてからはあまり迷わず連れて帰りました。

Nikkor-HC Auto 50mm F2
Nikkor-HC Auto 50mm F2 レンズ本体

Nikkor-HC Auto 50mm F2、L37cフィルター
Nikkor-HC Auto 50mm F2 付属のL37cフィルター

Nikkor-HC Auto 50mm F2、付属純正フード
Nikkor-HC Auto 50mm F2 付属の純正フード

いい出会いでした。付属の純正レンズキャップがなんだかゆるかったので、サードパーティー製のレンズキャップもおまけに付けていただきました。ありがたし。

ちなみにこちらのレンズ、実はニッコール千夜一夜物語でも紹介されていました。とっても勉強になり、また愛が深まりました。


しかしレンズの持病発覚 バルサム切れ!?

購入してから2か月くらい、フィルムのボディNikon F3にほぼつけっぱなしにして撮影を楽しんでおりました。特に問題も感じず。が、なんとなく思い立って最近デジタルの愛機 富士フィルム X-S10 につけてみたんですよね。そしたらボケに異変を感じました。今までフィルムは外撮影が多かったから玉ボケになるシーンが少なくて全然気づかなかったよお...

バルサム切れ、玉ボケ
バルサム切れ?できたない玉ボケ...

光に照らしてみると、確かにレンズ外周に「線」が見えまして、その線は玉ボケの線の具合に対応していました

バルサム切れ
よく他サイトさんで紹介されているように虹色っぽくはなっていませんが...

蛍光灯に透かして見るだけではほとんど気づくことができない細い線なのですが、日光に照らしてみると見えました。写真ではピントが合っておらず見えないのですが、右側だけでなく左側にも同様な線がありました。

光学系きれいだって太鼓判押されていたのにい...カビ跡のぽちぽちしたものとは違う、外側にうにゃーっとしたムラがあるタイプの汚い玉ボケが...。多分これは...バルサム切れじゃないかと。素人判断ですが。レンズを貼り合わせている接着剤の劣化ですね。うーん、汚いって言ったらレンズがかわいそうかな、個性的なボケ。

バルサム切れしたレンズの玉ボケ、絞りを絞っていくとどのように変化するのかチェックしたのでご覧ください。

Nikkor-HC Auto 50mm F2、バルサム切れ、絞り変化させた際の玉ボケの変化
拡大してご覧いただくと分かりやすいかも。

こんな感じで、開放に近いと玉ボケ周囲の模様が気になりますが、ある程度絞ってしまうとレンズ外周側の影響がほとんどなくなりますね、円形絞りじゃないからアレですけども。

やっぱり玉ボケにはレンズの状態が如実に反映されますね。ひぃ
ただ、写真撮ってて楽しくないかというと、否です。癖のあるレンズの個性を感じながら、ゆったりまったり撮影するのが楽しいの。アマチュアなので!


【作例】富士フィルムのミラーレス X-S10に装着して撮影

フィルムで撮影した作例はこれまでにも何個か載せたり、これからも使っていくと思うので、今回はデジタルで。富士フィルム X-S10 と組み合わせて撮影した作例をご覧ください。フィルムシミュレーション:クラシックネガ です。リサイズしてますが、色味の追加編集無しのJPG撮って出しです。※以下の写真はすべて上記で述べたL37cフィルターと、フードをを付けた状態で撮影しています。

この子の好きなところは、絞りを絞った時の解像感と絞り開放の時の光のにじみのギャップかな。

F5.6に絞って撮った写真が以下です。

Nikkor-HC Auto 50mm F2、絞った時の花の写真
Nikkor-HC Auto 50mm F5.6, Fujifilm X-S10, CLASSIC Neg.

ピントがばちっと来てる部分はけっこうくっきりはっきりしっかり描写されています。

一方、絞り開放で撮影すると、

Nikkor-HC Auto 50mm F2、開放時の花の写真
Nikkor-HC Auto 50mm F2, Fujifilm X-S10, CLASSIC Neg.

オールドレンズらしい光のにじみがとってもきれいで、光彩エフェクトかけたみたいに見えませんか?以下はすべて絞り開放で撮影した作例です。

Nikkor-HC Auto 50mm F2、開放、花
Nikkor-HC Auto 50mm F2, Fujifilm X-S10, CLASSIC Neg.

Nikkor-HC Auto 50mm F2、開放、花、ミツバチ
Nikkor-HC Auto 50mm F2, Fujifilm X-S10, CLASSIC Neg.

Nikkor-HC Auto 50mm F2、開放、花
Nikkor-HC Auto 50mm F2, Fujifilm X-S10, CLASSIC Neg.

玉ボケの外周が汚いっちゃ汚いのですけども、超じっくり見なければ「バブルボケ」のように見えなくもない...のはわたしだけですか?ただまあ個数が多いとざわざわした感じがします。F値も2なのでそこまで玉ボケのサイズも大きくなく。

Nikkor-HC Auto 50mm F2、開放、草、前ボケ
Nikkor-HC Auto 50mm F2, Fujifilm X-S10, CLASSIC Neg.

ほわあああとした前ボケがたまりません。そう、この子の前ボケ好き。あんまり玉ボケが出ないカットのほうが自然でよいかもですね。

Nikkor-HC Auto 50mm F2、開放、逆光、木
Nikkor-HC Auto 50mm F2, Fujifilm X-S10, CLASSIC Neg.

逆光耐性はこんな感じです。今回試した条件では、光源周囲のフレアやコントラスト低下は大きく感じられた一方、目立ったゴーストは出ませんでした。これもマルチコートの故でしょうか。ほわっと滲んだ感じで好きです。

「作例」ならもっといろんなシーンを!と思った方、すみません。わたし、草木の写真撮るのが好きなんです...


レンズ外観・富士フィルムX-S10ボディとの組み合わせ!

レンズそのものの外観は他サイトさんでも紹介があると思いますので、わたしのページでは、愛機 富士フィルム X-S10 との組み合わせをご覧いただこうと思います。(サブ機のSONY α6000 × 30 mm マクロレンズ:SEL30M35を用いて撮影しました。)マウントアダプターは後述するK&F Conceptの製品を使っていますが、ロゴの主張が強いのがアレなので黒色のマスキングテープを貼って隠しています。笑

Nikkor-HC Auto 50mm F2、マウントアダプター、X-S10
レトロな外観の富士フィルム機にもしっくりくる気がしませんか?

Nikkor-HC Auto 50mm F2、マウントアダプター、X-S10
この絞りの値のカラフルさが最高。好き。

Nikkor-HC Auto 50mm F2、マウントアダプター、X-S10
トータルのサイズ感はこんな感じです。フード外せばもっとちっちゃく。

どうですか?現代レンズとは違う、文字がいっぱい書いてあるメカメカしいデザインに惚れます。そうそう、わたしピントリングがゴムのものよりも金属製のものが大好きなんです。たとえどんなに寒いときに凍てつこうと、このルックスがたまらない!塗装が剥げている個体が多い中、ここまでの美品が手元に来てくれてうれしいです。大事に使おう。


使用しているマウントアダプター【選び方の注意!】

【型番】:Nikonマウントレンズ-FXマウントカメラ 【重量】:141 g【材質】:銅、アルミニウム合金 【MF&無限遠】リングの上に電子接点が付きないで、取り付け方は手動で設定します。着脱も簡単です。本品をご使用している場合、フォーカスはMFで、絞り調節なども基本的にフルマニュアルとなります。無限遠実現できます。(アダプターを取り付ける時は、カメラの電源を切ってください。)

わたしは↑これ↑を選んで、問題なく使っています。非Aiレンズも装着することができるので、Auto Nikkor 時代のAi改造していないレンズも使ってみたい方はこれがおすすめ!です。比較的お手頃価格ですしね。

対応レンズマウント:ニコンFマウント(Gタイプ対応) 対応カメラマウント:富士フィルムXマウント特徴:マウント変換、絞りリング付き ご使用時にはカメラの「メニュー」-「レンズなしレリーズ」を「ON」にしてください。

もうちょっと値段が高くなる↑このようなアダプターはAutoやAiの時代よりももっとずっと後のNikonレンズ用(レンズ筐体に絞りリングが無く、本体から電子的に制御するもの)をターゲットにしたものなので、Auto NikkorやAi Nikkorから、Dタイプレンズまでの絞り環がついているレンズではこれを選ぶ必然性はありません。絞り環が無いレンズをお持ちの方や、将来的に手にするかも...という方はこちらでもよいかも?
(追記:2021年8月8日 上述のマウントアダプターにはAiレンズを装着できないと勘違いしておりましたので、一部記載修正しました。)

おわりに

ここまでお読みいただきありがとうございました。Nikkor-HC Auto 50mm F2への愛をたっぷり語ってみましたが、いかがでしたか。とりあえず愛が伝わっていたらうれしいです!いつか接写リングを付けて撮った写真のお話もしたいな。それでは!

追記:このレンズに関する記事を他にも書いています!こちらも合わせてぜひ。
【オールドレンズ作例】Micro-NIKKOR Auto 55mm F3.5 と Nikkor-H・C Auto 50mm F2.0 撮り比べ|小口径レンズ

Nikkor-HC Auto 50mm F2、あやめ
Nikkor-HC Auto 50mm F2, Fujifilm X-S10, CLASSIC Neg.